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わがあいするしじんのでんき(さん)
わが愛する詩人の伝記(三)
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《わが愛する詩人の伝記(三)(わがあいするしじんのでんき(さん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,406 字 · 22 頁
とかいう哲人風な感想論評には余りこれを迎えなかった。萩原から言わせるとこれらの虚無の世界で、たえず明りを見ようという希みこそ、彼の生涯をつらぬいた逞しい意欲であったのである。併し私は元来評論嫌いであったからこれを愛読するに至らなかった。萩原は七八冊のノートに書きこんだ評論を暇にまかせて、何処から出版されるというあてなしに書きためていた。非常に早く書く方でありその辞句のあやつりも巧みであって、ああいう一見だらしのない人物が、よくも秩序を保たなければならない論文が、すらすらとながれる如くに書けるものだと思っていた。私なぞ評論風なものを二三枚書くのにホネが折れ、うまく文章が連れ立って来なかった。彼は小説は難かしいが評論は訳がないといい、私は小説は書けても評論はひちくどくて書けないといっていた。彼はいかなる場合でも文章の中心になる評論の語彙を捉えることに素早く、私はあちこち眺めていて彼のつかう適切な言葉さえ拾えなかった。口惜しまぎれに君の論文なんてあり来たりの評論的な語彙の掻き集めであって、ぴちぴちした生きた事なんか一つも書けていないじゃないか、読めばさかんなる勢いに悲哀の曇天をつかって、どれもこれも同じものばかりだというと、君なんぞ新聞の社会面のような冗らない小説ばかり書いている奴には、人間の意志のかがやきなんて