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わがまち
わが町
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《わが町(わがまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 93,840 字 · 186 頁
「――他あやん、まあ考えてみイ。この子まだ十やぜ。こんな歳でお前、下足番が出来るかいな。わいが頼むさかい、堪忍したりイ」
「〆さん、言うとくけどな、わいはこの子が憎うて、下足番させるのんと違うぜ。この子が可愛いさかい、させるねんぜ。君枝、お前もようきいときや。人間はお前、らくしよ思たらあかんねんぜ。子供の時からせえだい働いてこそ、大きなったら、それが皆自分のためになるねや。孔子さんかテそない言うたはる」
「ほんまかいな、他あやん、孔子さんがそんなこと言うたはるて、こら初耳や。おまはんえらい学者やねんな」
「言うたはれいでか。楽は苦の種、苦は楽の種いうて、言うたはる」
「阿呆かいな」
と、〆団治はあきれたが、〆団治も〆団治で、
「――そら、お前、大石内蔵之助の言葉や」
「まあどっちでもええ、とにかく、人間はらくしたらあかん。らくさせる気イやったら、わいはとっくにこの子を笹原へ遣ったアる。しかし、〆さん、笹原の小倅みてみイ、やっぱり金持の家でえいように育った子オはあかんな。十やそこらで、お前、日に二十銭も小遣い使いよる言うやないか、こないだ千日前へひとりで活動見に行って、冷やし飴五銭のみよって、種さんとこの天婦羅十三も食べよって、到頭下痢(はらく)になって、注射うつやら、竹の皮の黒焼きのますやら、えらい大騒動やったが、