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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《イデオロギー概論(イデオロギーがいろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 頁
何故ならエンテレヒーなる要因は物質でもエネルギーでもなく、又物質やエネルギーを生ぜしめたり消滅せしめたりするような物理的・化学的な外延量でもない、からである。エンテレヒーはただ、物質乃至エネルギーの可能的な諸転換の内から、特に或る転換だけを現実すべく、合目的的に選択し得る嚮導原理の外ではない。夫は何も別に新しい作用を及ぼすのではなくて、ただ与えられた諸可能態の内の一つを除く凡てを、単に抑圧・制止するだけなのである。――だからエンテレヒーの仮定は自然の機械的因果律を少しも破るものではない。この因果律を少しでも破って好いと考えたのは旧生気説であり、そしてそこにこそ初めてこの生気説の困難があったのだが、ドリーシュの新生気説によればこの困難は避けられる、というのである。
吾々は目的論一般に就いて分析している暇を持たないが、カントの目的論が自然の因果とは全く段階を異にした領域の原理であったとは異って、ドリーシュのエンテレヒーは、この機械的因果と同列に並ぶ処の自然要因の一つであったことを注意せねばならぬ。だから如何にそれが積極的な作用力を持たずに単に消極的な制止と抑圧との嚮導原理に過ぎないと云っても、その制止乃至抑圧は消極的ではあっても実際にはそうした制止とか抑圧とかいう一種の――積極的な――作用力でなくてはならぬ