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ゴールデン・バットじけん

ゴールデン・バット事件

海野 十三

線上閱讀海野 十三《ゴールデン・バット事件(ゴールデン・バットじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 頁

青空文庫

見ていると、フワーッと脳貧血が起りそうになった。それほどむごたらしい傷口だった。

「おお、金さん。可哀想に……」と番人は声を慄わせた。「助かりますか」

「金さんというのかネ」と帆村は云った。「金さん、まだ脈が続いている。無論意識は無いがネ。至急医者だ、警察も急ぐが、それより前に医者だ」

「医者は何処が近いですか、爺さん」私は番人の腕をとった。

「医者はあります。ここを向うへ三町ほど行ったところに丘田さんというのがある」

「じゃ爺さん、ちょっと一走り頼む」

「わしは、どうも……」

番人は尻込みをした。その結果、どうしても私が行かねばならなくなった。医師のところへゆくとすれば、怪我人の様子をよく見て行って話をせねばならないと思ったので、私は無理に気を励まして、血みどろの被害者の顔を改めて見直した。

「おお、これは……」

と私は駭きに逢って、とうとう声に出した。

「どうした、オイ。知り合いか」と帆村も駭いて私の肩を叩いた。

「これあネ」私は彼の耳に口を寄せた。「これあ先刻云ったゴールデン・バットの君江とややっこしい仲で評判の男さ」

2

私は医者を迎えるために、外へ飛びだした。