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ジストマたいじのはなし

ジストマ退治の話

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《ジストマ退治の話(ジストマたいじのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,042 字 · 23 頁

青空文庫

「なるほど、ひどいですね」と私も調子を合わす。せっかくお医者さんが喜んでいるのだから仕方がない。

「君、これじゃ、癒着だってひどくなるよ。きっと輸胆管のあたりもひきつっていて、胆汁がうまく腸へ送られないだろう。そうすると、消化不良だの何だのいろいろな故障が起きてくるよ。もっともそれだと小便に胆汁がでているはずだが。一つ小便をとってみてくれませんか」

看護婦が、小便の胆汁検査をしている間に、胃周囲炎なる尊敬すべき病気の話をきく。よほど珍しい病気とみえて、武見さんも、あなたが初めての患者で、かつ模範的な症状だと褒めてくれた。私もあなたの診察のやり方は、実験物理学の要諦にふれていると褒めておいた。この病気は非常に慢性的な病気で、ここ二年や三年前から始まったものではなく、二十年くらい前からの病気だろうという。「朝起きて、口の中に唾がいっぱいたまっていた経験がありませんか」ときかれてみると、なるほど中学の寄宿舎にいた頃から、そのとおりで、毎朝不愉快な思いをしたことがあったのを思い出した。二十年以上も、機能の悪い間脳を、頭の中に大事にしまい込んでいたのかと、少しがっかりした。