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ジャックとまめのき

ジャックと豆の木

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《ジャックと豆の木(ジャックとまめのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 8,339 字 · 17 頁

青空文庫

一

むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、やもめの女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。

こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年年ものが足りなくなるばかり、ある年の冬には、もう手まわりの道具や衣類まで売って、手に入れたおかねも、手内職なんかして、わずかばかりかせぎためたおかねも、きれいにつかってしまって、とうとう、うちの中で、どうにかおかねになるものといっては、たった一ぴきのこった牝牛だけになってしまいました。

そこで、ある日、母親は、ジャックをよんで、

「ほんとうに、おかあさんは、自分のからだを半分もって行かれるほどつらいけれど、いよいよ、あの牝牛を、手ばなさなければならないことになったのだよ。