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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

線上閱讀辻村 伊助《スウィス日記(スウィスにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,275 字 · 410 頁

青空文庫

, 3239m. と、東にあたってグラールスの谷の奥に、一群のグレルニッシュ Gl※(ダイエレシス付きA小文字)rnisch, 2913m. の山塊であった。そしてウリ・ロートシュトックの連峰も、ここからあまり離れていないだけに、雪の日蔭もはっきりして、ぼんやりと看過ごすわけには行かなかった。

私はケンツェリに腰かけて、丁度三時間を費やした、アルプの主脈から遠いにもせよ、もう僅かの間に雪の国に別れてしまう私には、燧石の破片のように眺められる小さな氷の山でも、このままに別れてしまうのが惜しまれてならなかった。

麓の雲の中から鐘の音がかすかに響いて来る、オーベルドルフ Oberdorb かウェッギスの寺の鐘であったろう。私は残り惜しげに、一足下りれば樅の林にかくされる此の雪の山々を、見かえり勝ちに、同じ雪路をカルトバートに戻って来た。もう二時に近かった。ホテルの爺さんは愉快な奴だった。昼飯をすませると又電車に乗って、がたがた動き初めると間もなく、霧の中に帰って来た、カルトバートから瞰下ろした時、下界の人達はあの雲に蒸されて、息がつまってしまったろうと心配していたが、ウェッギスは朝のままの静けさながら、やがてネーベルホルンが遠くから響いて、今朝乗って来た同じ船がフリュエレンの方からやって来た。