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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
線上閱讀辻村 伊助《スウィス日記(スウィスにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,275 字 · 410 頁
ラゴ・ディ・ポスキヤーヴォは美しい湖である。サッソ・モンテルロ Sasso Montello の氷の裾が水に落ちて、その山稜の影を浮かべた湖のふちに、谷は、木立にも、草にも、緑は次第に淡くなって、麓に見ることも出来なかった白雪は、斑らに水づいた原を埋めて、イタリヤの春は、今、スウィスの冬である。進むにつれて、線はますます急になって、だんだん白く覆われた谷のつき当りから、千鳥がけにいくつもトンネルをこして、高く高く登ってゆくと、面覆のような霧が、落葉松の森に往き来して、今来た路はもう見えなくなってしまった。
が、その霧は、四季の絵巻きにえがかれるように、冬と春の区劃をたてて、木立に包まれた崖の中段に渦まいていたに過ぎない。アルプ・グリュム Alp Gr※(ダイエレシス付きU小文字)m の停車場に着くころには、雪――恐らく五尺を超えていたろう――その冬ながらの積雪は、午を過ぎたばかりの、強い日光を反射して、眼も開けないくらいであった。ヴェドレッタ・ディ・パリュ Vedretta di Pal※(ダイエレシス付きU小文字) の、犬の舌のように垂れ下った氷河の裾は、この寥しい村からは、手がとどくばかりの近くまで来て、そこに、煙さえほそぼそと立ちのぼらなければ、殆んど見わけられなかった雪の塊りの、木こり小屋の間