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バークレーより
バークレーより
沖野 岩三郎
線上閱讀沖野 岩三郎《バークレーより》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,041 字 · 12 頁
その公園の中に見すぼらしい家がしょんぼり建っている。ペンキは剥げ、羽目板は曲み、窓ガラスは破れている、近よってみると間口五間奥行三間という木造平屋だ。家の周囲にはサイプラスとユーカリプタスが、ぎっしり生えている。これがアペイという邸宅で、ウオーキン・ミラーが晩年詩作に耽った所なのだ。
『なる程……』とこの家から詩翁の心も想像される。
『シエラの詩人と呼ばれしウオーキン・ミラーの住みし所、彼の名づけて高嶺といいける所。妻の名にちなみてアペイと呼びしこの家は、彼が「コロムバス」その他の詩を物せし所。周囲の樹木は彼の植えにしものにて、北方の高地には荼毘塔あり。また、モーセ、ジョン・シー・フレメント将軍、ロバアト・ブラウニングに捧げし記念塔あり。この高嶺は千九百十九年オークランド市の所有となる。』
それは青銅のタブレットにきざまれた文字であった。
破れた窓から中をのぞいてみると、薄暗い室に素朴頑丈な椅子やテエブルが無造作におかれてある。この椅子に掛けて、このテエブルにもたれて、詩翁は、ヨネ・ノグチの若い顔に何を話しかけたことであろうなどと思っていると、見ぬ詩翁の顔は浮んで来ないが、ヨネ・ノグチのあの顔が眼底に見えて来る。