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パリのちかろう
パリの地下牢
野上 豊一郎
線上閱讀野上 豊一郎《パリの地下牢(パリのちかろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,341 字 · 19 頁
マリ・アントワネットは十月十四日そこに「未亡人カペ」として召喚され、二日二夜に亘る辛辣な審問の前に、臆するところもなく立ちつづけ、簡明直截な答え方をしたり、或いは答えることを見合せたりした。その態度のひどく威厳を具えて立派であったことは多くの史家の等しく賞讃するところで、若かった頃の、国民に眉をひそめしめた頃の彼女とは別人の如くであった。その時彼女は三十八歳、革命の動乱が彼女の性格を鍛え上げ、天晴れの女丈夫に仕上げたのであった。
十月十六日未明、怪奇を極めた審問が終ると、フーキエ・タンヴィルは、何か言うことがあるかと聞いた。マリ・アントワネットは首を振った。陰惨な法廷の燭火は燃え尽して消えようとしていた。彼女の生命も消えようとしていた、彼女は予定の如く死刑を宣告された。彼女は無言のまま法廷を出た。
午前十一時、彼女は白布の囚人服のままで手を縛られて馬車に乗せられ、コンコルド広場へと運ばれた。パリの町町には太鼓が鳴り響き、街上には武装した三万の兵士が警戒していた。
彼女が十四歳の春ヴィーンからはるばるの旅路を辿ってパリに乗り込んだ時のきらびやかな楽しかった行列に引きかえて、これはまたなんという傷心な行列だろう! 馬車には一人の憲法司祭が付き添ってるきりで、前後は警固の騎馬に護られていた。