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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《ボロ家の春秋(ボロやのしゅんじゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 頁
「一体僕はどうなるんだろう。だまされたのかしら」
「そうかも知れないね」僕も不安げに相槌を打った。「でも、それにしてはおかしい。不破氏はまだ君から十万円取り分があるんだからね。逃げ出すわけがない。逃げたら損だものね」
「そうだねえ。それじゃやっぱり墓参に出たのかな」
「しかし、それにしても、君に売渡す約束をしながら、この僕から権利金を取ったのは、どういう心算だろう?」
「十万円が入ってから戻すつもりじゃなかろうか」
「そりゃあんまり僕を踏みつけにしたやり方だよ」僕はすこし怒りました。「それじゃ僕はツナギに使われたようなもんじゃないか」
「まあそう決ったわけじゃない」野呂は僕をなぐさめました。「とにかく不破氏が帰って来てから、その所存をただしてみよう」
「とにかく荷物を搬入した方がいいね。置き放しは物騒だからね」
「あっ、そうだ」
野呂はぴょこんと飛び上って、あたふたと表の方にかけて行きました。そこで僕もサンダルをつっかけて、そのあとを追った。門前に大八車がとまっていて、荷物がわんさと積んであります。どこから引っぱって来たのか知らないが、こんな大荷物をひとりで引っぱって来るなんて、痩せっぽちのくせに相当な体力だと内心舌を捲きながら、僕は荷物の搬入をせっせと手伝ってやりました。