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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《ボロ家の春秋(ボロやのしゅんじゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 頁
一、金十万円也
年 月 日
東京都渋谷区大和田町×××
陳根頑 ※
そして宛名は僕ら二人の連名になっています。その売渡書を野呂が受取ったものですから、僕はあわてて陳に頼んだ。
「陳さん。僕の分として今のをもう一通作成して下さい」
もう一通つくってもらって、文面を眺めると、権利書はまだ不破数馬が保管しているではありませんか。そこでその点について発言しようとすると、陳は掌をひらひらさせて僕を制して、
「不破のことなら大丈夫です。もし上京して来たら、あいつはたちまちひっくくられる。万事わたしに任せて置きなさい」
そして胸をどんと叩きました。そこで僕らは各自のポケットから五万円ずつ取出して、陳の前に置きました。陳はにこにこしながらそれをしまい込み、ぽんぽんと掌を打ち合わせました。すると孫伍風が丼を二つ持って階段をのぼって来ました。それを一つずつ僕らの前に置いたので、見るとただのラーメンです。支那竹と小さい海苔だけしか入ってない、一番安い三十円か四十円のやつでした。前回の豪華版にくらべて、何とまあ待遇が下落したものでしょうねえ。僕らが思わず顔を見合わせると、陳が猫撫で声で言いました。