輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

モスクワいんしょうき

モスクワ印象記

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《モスクワ印象記(モスクワいんしょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,941 字 · 42 頁

青空文庫

日本のように湯桶の中で水を沸かすのでもないし、沸かした湯を寒暖計で計りつつ注ぎ出す科学的方法でもない。室がある。一方の隅に胸位の高さまでの石がある。それは焼石だ。真赤な焼石である。その焼石に、いきなり水をぶっかける。バッ! 水蒸気が立つ。忽ち水蒸気で室が一杯になる。その蒸風呂で、スラヴの汗とあぶらをしぼるのだが、焼石に水をぶっかける時、こつがある。人は、必ず体をかがめ、下から焼石へ向って水をぶっつけなければならぬ。立って焼石に水をかける。一時に水蒸気が裸の体の胸を撃つ。人は死ぬ。――石が吸い込んだ熱、或はペチカの煉瓦の温みがロシアの人のあたたかさだ。

この温みが声帯を通って出て来た時、我々はいわゆるロシア的雄弁のいかなるものかを知る。雄弁法に於ても彼等は人生派だ。その言葉に耳を傾けさせようとするなら、先ず引例を彼等の脚にはいている長靴にとれ。詩的美文は彼等を魅するどんな力も持たない。

彼等の手は遅い。なかなかなぐらない。口は早い民衆だ。彼等は多勢の人が自分に注目するから、つい口を噤むという日本人の心持は全然知らぬ。自分の主張を一人でも多くの人に聴いて貰いたいからこそ話す。