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レンブラントのくに
レンブラントの国
野上 豊一郎
線上閱讀野上 豊一郎《レンブラントの国(レンブラントのくに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,657 字 · 25 頁
研究を目的とした個人的肖像画に一番よく現れているように思える。殊に自画像と近親者(息子ティトゥス、妻サスキア、及びヘンドリキエ)の肖像に。
というのも、つまりは、彼が「人間」の研究者であったからだと思う。人間の中でも近親者は一番よく理解していた筈であり、更に彼自身をば彼が一番よく理解していた筈であるから、従って自画像が特によくできてるのではあるまいかと思う。考えて見ると、彼がライデンの風車の下の貧しい家の片隅で描き始めたのも彼自身の顔と近親者(その頃は父と母と妹)の顔だったが、それを死ぬ間際まで飽きることなく描きつづけたというのも、まことに驚くべき不退転の精魂ではあった。
その頃の他の画家たちと同じく、レンブラントにも「聖書」から題材を取った画が少からずある。けれども、いわゆる宗教画と趣を異にする点は、その場合にも、彼は「人間」を描くことが本意であって、その人間の置かれた境遇を「聖書」の伝説から借りたに過ぎないことである。例えばハーグの「殿堂の披露」にしても、(それはハーグの「解剖講義」の前年、二十四歳の時の作品だが)、背景となっている殿堂の内部と大階段、大階段の上にうごめいている三四十人の人物はすべて暗さの中に退き、大階段の下に明るく浮き出している七人(赤ん坊を加えれば八人)の人物が中心である。