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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁
一
「何うも早や――いや早や、さて早や、おさて早や、早野勘平、早駕で、早や差しかかる御城口――」
お終いの方は、義太夫節の口調になって、首を振りながら
「何うも、早や、奥州の食物の拙いのには参るて」
赤湯へ入ろうとする街道筋であったが、人通りが少かった。侍は、こう独り言をいいながら
「早や、暮れかかる入相の」
と、口吟んで、もう一度、首を振ってみたが、村の入口に、人々の――旅の、客引女らしいのが立っているのを見ると、侍らしくなって歩き出した。
少し、襟垢がついていて、旅疲れを思わせる着物であるが、平島羽二重の濃紫紺、黒縮緬の羽織に、絹の脚絆をつけていた。
「お泊りなら、すずかなお離れが、空いてるよう」
「お武家衆様、泊るなら、こっちへ」
女が口々に呼びながら、小走りに、近づいたが、さすがに、商人にするように、袖を掴まなかった。
「ええ、お娘子を取りもつで。江戸のお武家衆や」
侍は笑って
「江戸と、何うして、判るか」
「ええ、身なりがに――さ、寄って、泊って行かっせ」
勇敢な一人が、羽織をつかんだ。
「お湯も、けれえだから」
「よし、泊ってつかわそう」
「そりゃまあ」