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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁

青空文庫

一人が、右源太の顔を見た。

「他人の空似ということがあるからの」

「それはそうだ」

「然し、その男は、確に、大作だと申しておったが――」

「証拠でもあるか?」

「ちらと見ただけだが――」

「はははは」

右源太は、おっかぶせるように笑った。そして

「そんな話より、岡場所のことでも、話そうでは無いか、何んなら、今夜一つ奢ろうかの」

「結構、一つ、あやかりに――」

「又もや、御意の変らぬ内、拙者一足先へ参っておるとしようか」

と、一人が片膝を立てた。

二十一

だあーん――それは、その近くに住む人が、生れて以来、聞いたことの無い音であった。その近くで、その音を立てたなら、死罪に処さるべき、鉄砲の音であった。

(鉄砲だ)

と人々は、ぎょっとすると共に、窓を開けたり、跣足のまま走って出たり――往来の人々は、音のする方を眺めて――新らしい橋の橋外の柳の木の辺に、行列の人数の乱れているのを見ると共に――小僧は徳利を小脇にかかえて、溝沿いに、恐る恐る走ると、侍は刀を押えて、町人は顔色を変えて、走り出した。

人の騒ぐ姿、罵る者、橋外へ来かかった津軽の行列は槍を傾け、挟箱持は濠端へ逃げ、駕籠はよろめきながら、人数の乱れる脚の真中に――そして、柳の木の下には白い硝煙が、薄く立ち昇っている。