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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁

青空文庫

看板の前に、大勢の町内の人が集って、口々に、話合っている。そして、侍が近づいて覗き込むと

「どうでえ。これがほんとうの勇士ってんだの、百万の敵中へ、たんだ一騎、やあやあ近くば耳にも聞け、遠くば鼻で嗅いでみよ――」

「ほほう、大胆な仁だのう」

侍が、呟くと

「一番手合せなすったら?」

「立合せか、花かるたなら致そうが――」

「こいつは話せる、旦那」

と、いっている間に、薄色の羽織、小粗い仙台平の袴の侍は、去ってしまった。

「ああいう侍ばっかりの中へ、何うでえ、町内の誉だぜ。又来た、来た」

一人の侍が、眺めてみて、首を振って

「不敵不敵」

と、呟きながら行った。

「あん畜生、余り女郎買して、鼻が無くなったんだろう。素的素的ってのさ、不敵不敵って、いってやがらあ」

「しっ、聞えるぜ」

「ほっ、又来た」

一人の若侍が、小者に、何かの包を持たせて、人々の中を、玄関へ入って行った。

「ほっ、弟子入りだ。しめしめ、出てきたら胴上にしちゃえ」

珍らしい物、珍らしいことを、何よりも好んでいた江戸の人々は大作の放れ業を、大胆さを、渇仰して、超人のように称え出した。町内の人々は、自分の仕事をすてておいて隣りの町へ、自慢に行った。