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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁
玄関先に、堂々と、いかなる身分の者、いかなる用件といえども、紹介する者無しには、面謁せぬと。頼山陽先生さえ、断ったというが――たわけた沙汰だ。大作も、その弟子だから、見えすいた術策を弄して――紙の大筒――よし、今日まで、世間の噂、びくびくしていたが、正面からの太刀打は――まず、出来んとしても、欺し討ちなら、大丈夫だ。天下のお尋ね者を討取り、重ねて兄の仇を討ったと――まず、安うて二百石。二百石になると、新吉原へ行っても太夫所が買える。芸者なら、櫓下――)
右源太は、にやにや笑いながら、曲り、折れる急坂を、とことこ小走りに、降りて行った。
(早く、討取って、早く戻って――何んしろ、食物の拙いのには、恐入る。食物は、江戸に限るて――)
右源太は、江戸のことを思いながら、足は、大作の去ったと思う、津軽領の方へ、急いでいる。
「米沢街道に、白菊植えて
何さ、聞く聞く
便りきく
米沢街道に、松の木植えて
何を、まつまつ
主を待つ
とこ、すっとこ、ぴいとことん、か」
右源太は、唄いながら
「おっとっと」
と、独言をいって、細い、急な坂道を、どんどん降りて行った。行手に、道が白く延びていて、田畑か、川が、家の屋根が、見えていた。