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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《三四郎(さんしろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 頁

青空文庫

「ほんとうに?」

「ほんとうに」

「だってそれじゃおかしいわね」

「だから借りなくってもいいんです」

「なぜ。おいやなの?」

「いやじゃないが、お兄いさんに黙って、あなたから借りちゃ、好くないからです」

「どういうわけで? でも兄は承知しているんですもの」

「そうですか。じゃ借りてもいい。――しかし借りないでもいい。家へそう言ってやりさえすれば、一週間ぐらいすると来ますから」

「御迷惑なら、しいて……」

美禰子は急に冷淡になった。今までそばにいたものが一町ばかり遠のいた気がする。三四郎は借りておけばよかったと思った。けれども、もうしかたがない。蝋燭立を見てすましている。三四郎は自分から進んで、ひとのきげんをとったことのない男である。女も遠ざかったぎり近づいて来ない。しばらくするとまた立ち上がった。窓から戸外をすかして見て、

「降りそうもありませんね」と言う。三四郎も同じ調子で、「降りそうもありません」と答えた。

「降らなければ、私ちょっと出て来ようかしら」と窓の所で立ったまま言う。三四郎は帰ってくれという意味に解釈した。光る絹を着換えたのも自分のためではなかった。

「もう帰りましょう」