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あるくこと

三好十郎の仕事 第三巻

三好 十郎

線上閱讀三好 十郎《三好十郎の仕事 第三巻(あるくこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,472 字 · 667 頁

青空文庫

織子も走ってその後を追う。二人が階段を駆け降りる音。やがてシーンとなる)

(一瞬のうちに、穴のふちに須永と桃子と柳子の三人が取り残される。ボンヤリしている須永、遠い方へ耳をすますようにしている桃子。ほとんど恍惚として我を忘れて須永を仰ぎ見ている柳子。――静かだ)

13 食堂

(私が一人で立っている)

私 ……待てよ。ぜんたい何が起きたのだ? 何が此処で起きたのだろう? 起きつつあるのだろう? 私たちの生活は、それほど愉快な明るいものではなかった。しかし、おだやかな、気持の良いものだった。そこへ須永がとびこんで来た。はじめ何がとび込んで来たのか、誰も気が附かなかった。そのうち、ヒョイと気が附いた。これは殺人者だ。そしてもう既に死んでいる人間だ。そいつが私たちの間をウロウロしはじめた。すると私たち全部の調子が不意に変になってしまった。死んだ人間が歩きまわっているのを見ているうちに、おれたちの一人一人が急に、自分が生きていることに気が附いたのか? ……いや、そうではない、須永は死んだのではない。須永だけが、おれたちの中で須永だけが今生きているのではないのか? 須永は、今こそホントに生きはじめたのではあるまいか? それを見ておれたちの一人々々までが、日常生活のものうい夢から叩き起され、眼をさましたのではないの