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みうらろうじんむかしばなし

三浦老人昔話

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁

青空文庫

「殿様、土地の者が酔っ払って来て、何かぐず/\云っているのでございます。あなたはお構い下さらない方がよろしゅうございます。」

「むゝ。土地の者がぐずりに来たのか。」

むかしは遊芸の浚いなどを催していると、質のよくない町内の若い者や小さい遊び人などが押掛けて来て、なんとか引っからんだことを云って幾らかの飲代をいたぶってゆくことが往々ありました。世間馴れている小坂さんは、これも大方その仲間であろうと思ったのです。そう思ったら猶更のこと、帳場の者にまかせて置けばよかったのですが、そこが矢はり殿様で、自分がつか/\と入口へ出てゆきました。

「失礼であるが、今夜はこちらも取込んでおります。ゆっくりとこゝで御酒をあげていると云うわけにも行かない。どうかこれで、ほかへ行って飲んでください。」

小坂さんは紙入から幾らかの銀を出して、紙につゝんで渡そうとすると、相手の方ではいよ/\怒り出しました。

「やい、やい。人を馬鹿にしやあがるな。おれたちは銭貰いに来たんじゃあねえ。喜路太夫をこゝへ出せというんだ。」

「その喜路太夫はわたしです。」

「むゝ。喜路太夫は手前か。怪しからねえ野郎だ。