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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
「まだ新しいのですから、捨てゝしまうのは勿体のうございます。」
櫛を拾うのは苦を拾うとか云って、むかしの人は嫌ったものでした。お幾はそんなことに頓着しないとみえて、自分が貰いたいという。阿部さんは別に気にも止めないで、どうでも勝手にするがいゝと云うことになりました。きょうは獲物が多かったので、盥のなかには鮒や鯰やうなぎが一杯になっている。そのなかには可成りの目方のありそうな鰻もまじっているので、阿部さんもすこし嬉しいような心持で、その二三匹をつかんで引きあげて見ているうちに、なんだかちくりと感じたようでしたが、それなりに手を洗って居間へ這入りました。夕飯の支度は出来ているので、お幾はすぐに膳ごしらえをしてくる。阿部さんはその膳にむかって箸を取ろうとすると、急に右の小指が灼けるように痛んで、生血がにじみ出しました。
「痛い、痛い。どうしたのだろう。」
主人がしきりに痛がるので、お幾もおどろいてだん/\詮議すると、たった今、盥のなかの鰻をいじくっている時に、なにかちくりと触ったものがあるという。そこで、お幾は再び蝋燭をつけて、台所の盥をあらためてみると、鰻のなかには一匹の蝮がまじっていたので、びっくりして声をあげました。