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しゃんはい
上海
横光 利一
線上閱讀横光 利一《上海(しゃんはい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,628 字 · 292 頁
「君、これでこの工場の賃銀は、外国会社のどこよりも高いんだ。それにも拘らず、また一割増の要求さ。僕の困るのも分るだろう。」
実は周囲の工女に聞かすがために、参木にいった高重の苦しさを、参木は感じて頷いた。すると、高重は再び日本語で彼に向って力をつけた。
「君、この工場を廻るには、鋭さと明快さとは禁物だよ。ただ朦朧とした豪快なニヒリズムだけが機関車なんだ。いいか、ぐっと押すんだ。考えちゃ駄目だぞ。」
二人は練条部から打棉部の方へ廻って来た。廊下に積み上った棉の間には、印度人の警官がターバンを並べて隠れていた。
「参木君、この打棉部には危険人物が多いから、ピストルに手をかけていてくれ給え。」
円弧を連ねたハンドルの群れの中で、男工たちの動かぬ顔が流れていた。怒濤のような棉の高まりが機械を噛んで慄えていた。参木はその逆巻く棉にとり巻かれると、いつものように思うのだ。……生産のための工業か、消費のための工業かと。そうして、参木の思想はその二つの廻転する動力の間で、へたばった蛾のようにのた打つのであった。彼は支那の工人には同情を持っていた。だが、支那に埋蔵された原料は同情の故をもって埋蔵を赦すなら、どこに生産の進歩があるか、どこに消費の可能があるか。