輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しゃんはい
上海
横光 利一
線上閱讀横光 利一《上海(しゃんはい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,628 字 · 292 頁
」
「馬鹿をいいなさい。俺が帰ったらお杉が戸口に立ってたんじゃないか。」
「ははア、じゃ、首を切られて行くとこがなかったんだ。」
参木は昨夜のお柳の見幕を思い出すと、お杉の災いがいよいよ自分に原因していることを感じて暗くなった。しかし、それにしても、お杉が自分の家から出て行こうとしない所が不思議であった。何か甲谷がお杉に釘を打つようなことをしたのではないか。この甲谷が昨夜お杉と一室にいたとすれば、そうだ、甲谷のことなら――。
彼は甲谷の顔を眺めてみた。その美しい才気走った眼の周囲から、参木はふと甲谷の妹の競子の容貌を感じ出した。すると、彼はお杉を傷つけたものが自分でなくして、自分の愛人の兄だということに、不満足な安らかさを覚えて来た。殊に、もうすぐ競子の良人が死ぬとすれば――。
「いったい、昨夜はどうしたんだ。」と甲谷は訊いた。
「昨夜か、昨夜は酔っぱらって露地の中で寝てたんだ。君は?」
「僕か、――僕は山口とサラセンで逢って、それから、芳秋蘭という女の後を追っかけた。」
市場から帰って来た一団の黄包車が、花や野菜を満載して流れて来た。参木と甲谷の周囲には、いつの間にか、薔薇や白菜が匂いを立てて揺れていた。