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「したじき」のもんだい

「下じき」の問題

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《「下じき」の問題(「したじき」のもんだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,838 字 · 20 頁

青空文庫

、軍協力文学を主唱したのは林房雄であった。こんにち、彼の「大人の文学」の内容は占領下日本に時めく四十代の「大人」をもてなし、たのしませる好色ものや息子ものとなった。あのころも今も、「大人の文学」は、そのときどきの勢に属して戯作する文学であった。そして、人間は理性あるものであって、ある状況のもとでは清潔な怒りを発するものであるということを見ないふりして益々高声に放談する文学であった。

読者は、黙ってはいても、判断しているのだ。そのおそろしさが、批評の精神に閃いていい。わたしたちのきょうの生活で、文学に批評の精神が活溌でないということは、重大であり、警戒されなければならない。それはとりも直さず、日本の人々が現実におかれている社会生活への批判が薄弱であるということなのだから。現代文学が、とんでも・ハプンという言葉をつかうような人種の登場によって、真の発展も探求もないテーマを粉飾し、読者をよろこばせることに成功しているならば、それは日本人が日本の言葉――生活を喪失しつつあることを意味するばかりであろう。

専制と恐怖の政治をすすめる温和な手段の一つは、人民の精神から批判力をぬき去るという方法である。