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ふしぎなるくうかんだんそう

不思議なる空間断層

海野 十三

線上閱讀海野 十三《不思議なる空間断層(ふしぎなるくうかんだんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,651 字 · 30 頁

青空文庫

すると彼は得々として喋りだしたものである。云うところはこうだ。

「お前は、はじめの夢で、かつての愛人を射殺し、二度目の夢では友人の妻君を殺したという。もしお前の云うとおり夢は同じことを二度以上見るというならば、その被害者が両度とも同じである筈ではないか。それが違っているのは不思議だとは思わないか」

というのだ。乃公は反対した。夢は自由である。登場人物など自由奔放に変り得るものだと言ってやった。

すると彼はまた訊ねるのだった。

「お前が最初の愛人を殺したときの光景はたいへん夢幻的に美しく、かつまた単純なものだった。しかるに二度目に友人の妻君を殺したときの光景は、あまりに現実的色彩が強すぎるではないか。この点の相違を考えるとき、なにかそこに或る作為が盛られているとは気付かないのか」

と、ひどく真面目な顔をして云うのだった。乃公はこれを聞いた直後、こいつはいいことを云うと思った。たしかに乃公は二度目の夢の中での殺人に、かなり真実に迫るものを感じたから。だが、すこし長く考えていると、判事は些細なことを、ひどくこじつけて論じてやがるぞと思って軽蔑を感じた。

「お前は黙っとるが、少しは僕の云うことが判るらしいね」