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なかみとけいしき
中味と形式
線上閱讀夏目 漱石《中味と形式(なかみとけいしき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,539 字 · 31 頁
でいうと、型自身が独立して自然に存在する訳のものではない。例えばここに茶碗がある。茶碗の恰好といえば誰にでも分るが、その恰好だけを残して実質を取り去ろうとすれば、とうてい取り去る事はできない。実質を取れば形も無くなってしまう。強いて形を存しようとすればただ想像的な抽象物として頭の中に残っているだけである。ちょうど家を造るために図面を引くと一般で、八畳、十畳、床の間と云うように仕切はついていても図面はどこまでも図面で、家としては存在できないにきまっている。要するに図面は家の形式なのである。したがっていくら形式を拵えてもそれを構成する物質次第では思いのままの家はできかぬるかも知れないのです。いわんや活きた人間、変化のある人間と云うものは、そう一定不変の型で支配されるはずがない。政をなす人とか、教育をする人とかは無論、総て多くの人を統御していこうと云う人も無論、個人が個人と交渉する場合に在ってすら型は必要なものである。会う時にお時儀をするとか手を握るとか云う型がなければ、社交は成立しない事さえある。けれども相手が物質でない以上は、すなわち動くものである以上は、種々の変化を受ける以上は、時と場合に応じて無理のない型を拵えてやらなければとうていこっちの要求通りに運ぶ訳のものではない。