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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第八巻(『ケプロン・くろだのこうそう』について)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 頁
冷凍魚は、非常に便利である。いろいろな種類があるが、どれもちゃんともとの味をもっているので、ちょっと感心する。アラスカの蟹の肉の冷凍などは、巧くもどすと、北陸の蟹そっくりである。驚いたことには、烏賊の冷凍まであって、これは刺身にして食って、ちっとも変でない。生姜もあるし、醤油はひどく上等品がきているので、ほとんど不自由しない。鰊の冷凍したものがあったら、庭で炭火をおこして、もうもうと煙を立てて焼いて、近所の連中を驚かしてやりたいのだが、妙なことには、冷凍の生鰊は見当らないようである。たいてい温燻にするらしいので、それもちょっと煙らしただけで、半分生のようなのを、低温で保存したものである。これはなかなか美味い。
鰊や鰯は、アメリカと限らず、欧洲の諸国でも、上等の魚とされている。もっともアメリカのヘリングと、日本の鰊とが、全く同じものであるかどうかは知らないが、もし同じものだったら、鰊にはとんでもない大きいものがいることを、アメリカへきて初めて知った。というのは、シカゴの水族館には、三尺近い鰊が悠々と泳いでいるのである。
シカゴのように、一番近い海から、六百マイル以上もはなれている、大陸の真中で、海の魚をかっている水族館があるのだから、ちょっと驚かされる。