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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第八巻(『ケプロン・くろだのこうそう』について)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 頁
物が穫れないか、あるいは少しくらい穫れても引き合わない土地は、棄てられてしまったからである。高山の山麓地帯を見ると、はっきり分るのであるが、一時無理をして四百メートル台くらいまで開墾したのに、どうにも引き合わなくて、また三百メートル台まで下がったところがたくさんある。
ところが今度新しく開墾をする土地は、その不作付地よりもさらに条件の悪いところである。悪い所でなくては残されていないのであるから仕方がない。いくらトラクターが活躍しても、そういうところでは、開墾後の農業経営がなり立つはずがないであろう。経営などは第二の問題で、とにかく食糧の絶対量を増産しなくてはという議論も、この場合は意味がない。経営を無視しても、食糧が必要なのは今であるが、その時期には、むしろ食糧自身にはマイナスになる開墾をやり、経営が絶対条件になる時期になって、経営不能の農業をさせようというのである。
そうすると大急ぎで苦しい中から無理をして、トラクターを沢山作って、食糧が要らなくなったときに食糧をとるべく、大汗になって緊急開墾というのをやっていることになる。
以上は昭和二十二年の六月に書いたものの中から引用したのであるが、これくらい分り切ったことには、研究も調査も不必要である。