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まるのうち
丸の内
高浜 虚子
線上閱讀高浜 虚子《丸の内(まるのうち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,875 字 · 46 頁
あぶない足場を渡りながら、およそこれが舞台、これが楽屋という説明を聞いた。そうしてそこを出てすぐ隣の女優養成所にも案内せられた。そこで女優の舞踊や芝居のおさらえを見た。森律子、村田嘉久子、初瀬浪子、河村菊江、鈴木徳子などという名を覚えた。それらの人々は何れもまだ二十歳ばかりの娘盛りであった。
それから森律子は同郷の森肇氏の令嬢というので、二、三度逢った。それに鈴木徳子には私の友人が知り合いであったので二、三度引き逢わされた。
帝劇の工事が竣成して花々しく開場した時には私も賓客の一人として招待された。赤いじゅうたんをしき詰めた階段の上を皆が恐る恐る踏んだ。中に物なれた素振りで平気で闊歩するらしく見える人もひそかに靴のよごれを気にした。
「頼朝」と題する新作物(それはたしかには覚えぬ。或は間違っているかも知れん。)は余り面白くもなかったが、それでも美しい建築と、大がかりの舞台装置とは人目をひいた。
爾来毎月案内を受けて、殆ど毎回のように私はこの帝劇を見物している。そうして梅幸や宗十郎などが漸く老いて、その梅幸の子の栄三郎や宗十郎の子の高助や田之助が一人前の役者になっているのを見た。