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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁

青空文庫

ゆえに、いま善軍の総大将たる奉行が、いたずらに床几に腰をかけ、さいはいを振って人を使いながら自らは手をもよごさず、口さきばかりで構えておってはどうなるものでもない。諸人の後頭部を見て閑法をかたるひまに、数歩陣頭に進んで敵の悪を見さだめるのじゃ――いってみれば、身を巷に投ずる。民の心をわが心として親しくその声を聞き、いや、この忠相じしんがすでに民のひとりなのじゃ……王道の済美はここに存すると、まあ忠相はつねから信じておるよ、はっははは、おっと! これも碁の戦法! な、蒲生、だからわしはとうの昔からすべてを知っておる、何からなにまでスッカリ調べが届いているのみか、もうそれぞれに手配ができておるのじゃから、安心して――」

「安心して、ひとつ碁といくか」

「さよう。安心して碁と来い」

ふたりはすばやく顔を見合って、同時に爆発するように笑いの声をあげたが、泰軒はすぐさま真顔になって、

「しかし、こうのんびりと碁を打っておるあいだに、おぬしの張った網のなかの大魚は、だいじょうぶだろうな?」

「まず逸する心配はない」

「さようか……しかし」と泰軒は盤のうえの黒白ふたつの石をさして、「こう――この石がともに当方の手に帰せんうちに、いま先方を引っくくられては、こっちが困るぞ」