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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 頁

青空文庫

で、いま。

その当時江戸の名物べに絵売りなるものの風俗をみるに……。

あたまは野郎頭。

京町とか、しののめとか書いた提灯散らしの模様をいっぱいに染め出した留袖。

それに、浪に千鳥か何かの派手な小袖。

風流紅彩色姿絵と横に大書した木箱を背負い、箱のうしろに商売物の絵をつるし、手に持った棒にもべに絵がたくさんさがっている。

そして、その箱の上に、天水桶から格子戸、庇まで備わり、三浦と染め出した暖簾、横手の壁には吉原と書いた青楼の雛形に載せてかついでいようという、いかにも女之助と呼びたい、みずからそのべに絵中の一人物――。

後年はおもに女形の卵子や、芳町辺で妙な稼業をしたものの一手の商売ときまり、またその時分すでにそうした気風も幾分かきざしていたけれど、それでも享保時代にはまだ、副業の男娼よりは、べに絵売りはただ新しく世に出て珍しい彩色絵を売り歩く単なる絵の行商人にすぎなかった。

とはいっても。

どうせ女子供を相手に街上に絵をひさぐ商売である。

それこそしんとんとろりと油壺から抜け出て来たような容貌自慢の優男が、風流紅彩色姿絵そのままの衣裳を凝らして、ぞろりぞろりと町を練り歩いたもので、決して五尺の男子が、自らいさぎよしとする職業ではなかった。