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ふたつのうんめい

二つの運命

小川 未明

線上閱讀小川 未明《二つの運命(ふたつのうんめい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,309 字 · 5 頁

青空文庫

「こちょうさん、だんだん秋が近づいてきました。みんなが死を考えなければならなくなりました。」と、せみはいいながらも、自分だけは、あの大きな木のしげった中に身を隠していれば、寒くなったって、そんなに怖ろしいこともないだろうと思っていたのです。

「私は、寒くなることを考えると身ぶるいします。私のすみかにしています、あのやさしい花が散る日のことを考えると私は、身を切られるように感じます。」と、こちょうは怖ろしさに身を震わしていいました。

「おたがいに、こうして達者でいましたら、またお目にかかります。いまのうちに、うんとあなたは舞ったり、踊ったりなさいまし。」と、せみは、こちょうをかわいそうに思って、こういって、なぐさめまして、いずくへともなく立ち去ってしまいました。

日にまし、風が強くなって、いままで南から吹いたものが、西から吹き、北から吹くようになると、遠い、高い山の雪の上を越えてくるとみえて、風は、冷たく、寒くなりました。こちょうは心配げに見えたのであります。

元気よく鳴いているせみの声は細っていきました。この世の中が急にこんなに変わりましたので、ふたりは、もう、たがいに出あって物語をするようなこともなかったのです。