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しつらくえんさつじんじけん

二十世紀鉄仮面

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《二十世紀鉄仮面(しつらくえんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,489 字 · 77 頁

青空文庫

断じて、幻覚では御座いません。その真実なことは、是非信じて頂きたいと思いますわ」

驚いた二人は、思わず慄然としたように視線を合わせたが、杏丸は信ぜられないかの如くに呟いた。

「もし、なかの膜嚢が、破れてでもいるのでしたら、腐敗瓦斯の発散で、動くこともあるでしょうがね。然し、その光というのだけは、どうしても判らん。確かに吾々以外の人物が潜んでいるんだ――其奴が屹度犯人なんですよ」

そして、狐の様に刺々しい、鹿子の顔を凝視めるのだった。

こうして、訊問は終了したが、鹿子はコスター聖書に関して、片言さえも洩らさなかったし、一方法水も、鹿子の不在証明を追求しようともしなかったのである。

然し、法水は何事か思い付いたと見えて、杏丸を残して、二時間程この室を留守にしていたがやがて戻って来ると、愈最後の調査を、死蝋室で行うことになった。

死蝋室は、事件の起った一棟の右手にあって、その室だけには、窓に鎧扉が附いていた。その二重扉の内側には、堕天女よ去れ――と許りに下界を指差している、※(「りっしんべん+刀」、第3水準1-84-38)利天の主帝釈の硝子画が嵌まっていた。