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にばんめのむすめ

二番めの娘

小川 未明

線上閱讀小川 未明《二番めの娘(にばんめのむすめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,488 字 · 16 頁

青空文庫

娘は、この巡礼が、遠い諸国をもまわるのだとききましたから、もしや自分の故郷へもゆくことはないかと問いました。

「来年の春のころには、あなたの故郷の方へもまいります。」と答えました。

彼女は、考えていましたが、ひまわりの種子を紙に包んで、すこしばかり持ってきました。

「もし、私の家の前をお通りなさることもありましたら、この種子を私だと思ってくださいといって、母に渡し、姉や、弟に、よろしくいってください。」といって頼みました。

巡礼の男は、それを受け取って、

「たしかにお渡しいたします。ありがとうございました。」と、礼をいって立ち去りました。

「お達者に。」といって、娘は、巡礼を見送りました。

巡礼は、遠ざかってゆきました。彼女は、あの青い、青い海を、汽船で幾日も揺られてきた時分のことを思い出しました。いまの巡礼は、山を越え、河を渡り、野原を過ぎ、村々をいって、自分の故郷に着くには、いつのころであろうと考えられたのです。おそらく、木々の葉がちってしまい、さびしい、寒い冬をどこかですごして、来年のことであろうと思われました。

今日も、夕日は、町の白壁を染めて、静かに暮れてゆきました。