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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《五重塔(ごじゅうのとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 頁
て梟に似た眼で我の顔を見つめ、ああ清吉あーにーいかと寝惚声の挨拶、やい、汝は大分好い男児になったの、紺屋の干場へ夢にでも上ったか大層高いものを立てたがって感応寺の和尚様に胡麻を摺り込むという話しだが、それは正気の沙汰か寝惚けてかと冷語をまっ向からやったところ、ハハハ姉御、愚鈍い奴というものは正直ではありませんか、なんと返事をするかとおもえば、我も随分骨を折って胡麻は摺って居るが、源太親方を対岸に立てて居るのでどうも胡麻が摺りづらくて困る、親方がのっそり汝やって見ろよと譲ってくれればいいけれどものうとの馬鹿に虫のいい答え、ハハハ憶い出しても、心配そうに大真面目くさく云ったその面がおかしくて堪りませぬ、あまりおかしいので憎っ気もなくなり、箆棒めと云い捨てに別れましたが。それぎりか。へい。そうかえ、さあ遅くなる、関わずに行くがよい。さようならと清吉は自己が仕事におもむきける、後はひとりで物思い、戸外では無心の児童たちが独楽戦の遊びに声々喧しく、一人殺しじゃ二人殺しじゃ、醜態を見よ讐をとったぞと号きちらす。おもえばこれも順々競争の世の状なり。