輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ほろびゆくはな

亡びゆく花

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《亡びゆく花(ほろびゆくはな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,389 字 · 3 頁

青空文庫

まして夕方になるといよいよ寂しい。その薄暗い中に、からたちの花が白くぼんやりと開いている。どう考えても、さびしい花である。

俳句にもからたちの花という題があるが、あまり沢山の作例もなく、名句もないようである。からたちは木振りといい、葉といい、花といい、総ての感じが現代的でない。大東京出現と共にだんだんに亡びゆく植物のように思われて、いよいよ哀れに、いよいよ寂しく眺められる。前にいった場末の屋敷町や、新東京の住宅地などを通行して、その緑の葉が埃を浴びたように白っぽくなっているのを見ると、わたしはなんだか暗いような心持になる。これらのからたちもやがては抜き去られてトタン塀や煉瓦塀に変るのであろう。からたちで有名なのは、本郷竜岡町の麟祥院である。かの春日局の寺で、大きい寺域の周囲が総てからたちの生垣で包まれているので、俗にからたち寺と呼ばれていた。江戸以来の遺物として、東京市内にこれだけの生垣を見るのは珍しいといわれていたのであるが、明治二十四年の市区改正のために、その生垣の大部分を取除かれ、その後もだんだんに削り去られて、今は殆ど跡方もないようになってしまった。