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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《人外魔境(じんがいまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,384 字 · 42 頁
折竹は、もうその時は昏々とねむっていたのだ。
そんな訳で、翌日目を醒ましたのは日暮れ近くであった。みると、寝台のそばにカムポスがいて、じつに器用な手付きでズボンを繕っている。こいつ、昨夜のあのカムポスじゃないか。してみると、じぶんはカムポスに背負われてきたのだろう。そうそう、昨日の籖は一番違いだったっけがと……じっと目をつぶるとゆうべの記憶が、瞼の裏へ走馬燈のように走りはじめる。そこへ、カムポスがにこっと笑って、
「兄弟、目が醒めたかね」
きょうは、昨夜は大将だったのが、兄弟に変っている。そして針を手馴れた手付きで、スイスイと抜きながら、「どうだい、世帯持ちのいい、女房を持ちゃこんなもんだよ。これからは、みんなこんな工合に、俺が繕ってやる」
「上手いもんだね」
「そうとも、お針だって料理だって、出来ないものはないよ。俺は、コルセットの紐鉤に新案さえもっている」
この、奇抜な男が泥坊にもせよ、折竹はけっして厭がらなかったろう。いまは、意気投合というか絶妙な気合いで、二人の仲が完全に結ばれてしまったのである。たぶんカムポスは当分の食客を、折竹のいるこの室ですることになるだろう。