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にんぎょうのはなし

人形の話

折口 信夫

線上閱讀折口 信夫《人形の話(にんぎょうのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,238 字 · 9 頁

青空文庫

けがれをとって廻るのである。それがだんだん芸術的に変化してきた。その形がごく近代まで残っているのは、淡島願人である。子供の死んだ家で、着物、頭巾、人形など、子供の持っていた物をやったりする特殊な乞食である。これが古い意味の雛の信仰をもって廻った最後の者である。浅草にも淡島堂がある。淡島堂は雛を祭っているというが、そんな証拠は一つもない。雛祭りに、淡島さまに詣る江戸の信仰では、雛祭りと淡島祭りとは一つで、雛祭りの起源だというている。

淡島は諾冊二尊の間に生まれた二番目の子で、性がわからない。これを流したということから形代の起源と考えているのだろうが、そんなに古いところでなくとも、摂津の住吉明神、紀州加太の淡島神社から出ていると思う。住吉と加太とが淡島願人の中心地である。そこから出て、諸国に淡島信仰を流布し、下の病で苦しむ女を救うて歩いた。住吉明神の妻が白帯下にかかったのを嫌って、扉に乗せて流すと、紀州の加太に流れつき、そこに鎮座したという。だから年に一度加太から住吉に戻る式をやる。ちょうど摂津の堺が真中にあたり、ここにきて、来よう、来させまいと争う式がある。