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じんぞうにんげんエフし
人造人間エフ氏
海野 十三
線上閱讀海野 十三《人造人間エフ氏(じんぞうにんげんエフし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 頁
が、それっきり、棒がうごかなくなった。
「あれえ、どうしたのかな」といったが、帆村の腕は、腋の下まで穴の中にすっぽり入っているので、穴の隙間がない。したがって向うも見えない。すると、とつぜん、大きな声だ。
「だ、誰だ!」イワノフ博士のこえだ。
「しまった。もう、いけない」帆村は、もうこれまでと思い、棒を握ったまま、満身の力をいれて、ぐっと手もとへひっぱった。
ずいぶんくるしかったが、棒はやっとうごいた。重いものが床の上におちる音がした。それはエフ氏を操縦する器械が下におちたのである。そのとたんに、
「あ、いたい」と、帆村が叫ぶ。このとき棒は彼の手から放れてしまった。彼は大急ぎで穴から腕をひっこめた。
「うおーっ」と、獣のようなものが呻るこえ。
「さあ、たいへん。ううん、よわった」これはイワノフ博士のこえ。
博士の室内からは、なにかどすんどすんと重いものがぶつかっている気配だ。そうかと思うと帆村と正太の押しこめられている壁までが、ずしんずしんとひびいて、壁土がばらばらとおちはじめた。
「これ、人造人間エフ氏。しずまらんか。しずまれというのに」
博士の室内のもの音は、ますます大きい。