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じんぞうにんげんじけん

人造人間事件

海野 十三

線上閱讀海野 十三《人造人間事件(じんぞうにんげんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 頁

青空文庫

「……海面ハ次第ニ浪立ッテキタ」

呀ッという声が、一座の中から発した。

「おお大変だ。人造人間が動きだしたぞ」

「こっちへどいた」

ガチャンガチャンと金属音を発して、人造人間は函の中から一歩外に出た。まるで魂が入ったもののようであった。

帆村は青い顔をして読みつづける。

「砲声ハマスマス激シサヲ加エテイッタ――」

「砲声」というと、人造人間はユラユラと三歩前進してとうとう室の中央へ出てきた。一座は鳴りをしずめ、片隅に互いの身体をピッタリより添わせた。

「墨汁ヲ吹イタヨウニ、砲煙ガ波浪ノ上ヲ匐ッテ動キダシタ」

何にも動かぬ。

「重油ハプスプス燃エヒロガッテユク」

「重油」――という所で、人造人間はクルリと左へ向いた。

「砲弾モ炸裂スル。爆弾モ毒瓦斯モ……」

「爆弾」――というと、人造人間はツツーと駛って、博士の寝台のすぐ前でピタリと停った。これを見ている一同の顔には、アリアリと恐怖の色が浮んだ。

「……恐ロシイ爆音ヲアゲテ、休ミナク相手ノ上ニ落チタ。的ヲ外レテ落チタ砲弾ガ空中高ク水柱ヲ奔騰サセル。煙幕ハヒッキリナシニ……」

うわーッ。

一同の悲鳴。「煙幕」というところで、人造人間は鋼鉄の太い右腕をふりあげて、エイヤエイヤと寝台の上を打つのであった。