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じんぞうにんげん
人造人間
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《人造人間(じんぞうにんげん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,736 字 · 24 頁
まるで中学生か何かのように、妾なんてお転婆だったでしょう。大きな声で歌を歌いながら先生のすぐそばを通ったのでしたわね。妾わざとそうしたのですわ。妾の方では先生をよく知っていたのですもの。ブッセの詩でございましたわね、あの時妾がうたっていたのは。
山のあなたに空遠く
さいわい住むと人のいう
ああわれひとりとめゆきて
涙さしぐみ帰りきぬ
山のあなたになお遠く
さいわい住むと人の言う
この歌を歌いましたわ。すると先生もあとからついて歌われましたわね。わたし耳の附根まで赤くなりましたわ。でもわたし歌はやめなかったわ。そしてほんとうにうれしかったわ。胸がぞくぞくする程でしたわ」
村木博士の眼も少しうるんで来た。追懐ということはどんなに苦しい時の追懐でも人の心をセンチメンタルにする。まして、このような、ロマンチックな追懐は涙を催さずにすむものではない。博士は彼女の言葉をついで言った。
「それから海の中でずいぶん会いましたね。下半身を水の中へつけながら、そして時々やって来る波のうねりをよけながら、いろいろなことを話しましたね」
「そしてとうとう妾も先生から一間もはなれないところで、並んで砂に埋まりましたわ。