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あだうちきんしれい

仇討禁止令

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《仇討禁止令(あだうちきんしれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,238 字 · 35 頁

青空文庫

頼母殿尊霊も、そなたが復讐などに大事な半生を費されるよりも、文明の学問に身を入れて立身出世なされる方が、どれほどお喜びになるか分からないと、拙者は存ずるが……」

新一郎の言葉は、いかにも肺腑より出るようであった。

「お兄様のお言葉、嬉しゅうござりまする。しかし、私は、立身も出世も望みではございません。ただ、父の無念が晴らしたいのでございます。いや、父はお言葉のように、もう相手を恨んでいぬかも知れません。それならば、私は自分の無念が晴らしたいのでござりまする。父のむごたらしい殺され方を見た口惜しさは、とうてい忘れることができませぬ」

新一郎は、万之助の激しい意気に圧倒されて、口が利けなくなった。自分が下手人だと名乗ったら、今までの親しみなどはたちまち消えて、万之助はただちに、自分に向って殺到してくるに違いなかった。

「ごもっともである。それならば、復讐禁止令の御発布にならぬ前に志を遂げられたがよい。だが、山田の顔、吉川の顔はご存じか」と、新一郎はきいた。

「それで難儀でござりまする。二人とも存じませぬ。その上、一人は近衛大尉、一人は警部、二人ともなかなか手出しのできぬ所におります。