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こんにちのぶんがくのてんぼう
今日の文学の展望
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の展望(こんにちのぶんがくのてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,109 字 · 83 頁
然し一九三四年という年は二月のパリ騒擾事件(スタビスキー事件)におけるファシストの狂暴を契機として、フランス思想界に、左右の対立が歴然表面化した時であった。反ファシズム団体が政治的に結合したばかりでなく、文化を擁護するためにフランスの思想家、作家が反ファシスト行動委員会を組織した。この委員長はパリの自然博物館長であった。この委員会は学界の代表者を包括して八千名を超した。
これまで社会問題をあまり扱わなかったN・R・Fさえ時事問題をあつかわざるを得ない情勢におされ、広汎な反ファシズム文化運動の一翼につらなったのであった。が、アンリ・バルビュス、ルイ・アラゴン、トリスタン・ツァラ、クウチュリエその他によって、一九三〇年組織された「国際作家同盟フランス支部」の活動やその雑誌『コンミュン』の性質とフェルナンデスの「行動のヒューマニズム」理論が本質的に異ったものであることは、フェルナンデスが作家の生活的思想的孤独についてバルビュスなどとは対蹠的な評価を抱いている点について観るだけで、既に十分理解出来る。フェルナンデスのヒューマニズムも、知識人とその知性というものを社会生活の現実階級との関係において見ず、抽象化している点でN・R・Fの最も望ましからぬ精神傾向の伝統的な嫡子の一人なのである。