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こんにちのぶんがくのてんぼう
今日の文学の展望
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《今日の文学の展望(こんにちのぶんがくのてんぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,109 字 · 83 頁
、「ニイチェの『危険な生き方』とドストイェフスキーの英雄的な道徳廃棄論との巧緻な結合であり、しかも以上の二人の天才の倫理的熱情を全く欠いているジイドは」単に「感覚の玄人」として、世界観の飛躍を試みたに過なかった。
日本でジイドは、実に驚くべき過重評価をうけたのであるが、且て二十年近い昔、「狭き門」「背徳者」などが翻訳出版された時文学愛好者がアンドレ・ジイドなる名に払った注意は決して甚大なものではなかった。ジイドの日本における奇妙な繁栄は、丁度四五年前、プロレタリア文学の蒙った破壊前後、文学的混迷の時期に、一部の人によってジイドの混迷期の作品「パリウド」などが、深刻な面持で紹介されたに始る。続いてシェストフの不安の文学を通じてもたらされたニイチェ、ドストイェフスキー熱はミドルトン・マリがその混成物であるというジイドの芸術をも益々日本の読者層に輸入した。又ジイドがフェルナンデスの限界を破って、更に新しい社会の建設に対する賛同者になったことは、違った種類の読者をもひきつける一応の魅力となった。かかる事情のもとで日本へ紹介されたジイドは、小市民的なインテリゲンツィアの手にとられた知慧の輪のように、それぞれの動機からああこうと受けわたしされたのであった。