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さくひんのよろこび
作品のよろこび
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《作品のよろこび(さくひんのよろこび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 991 字 · 2 頁
生粋の芸術的な作品が私たちに与える深い精神の慰安はどこから来るものなのだろうか。芸術作品の底からさして来る真の明るさというようなものは極めて複雑な光りであって、浅い形で云われる筋の楽天性だの、作家の気質ののびやかさなどにだけかかっているものではない。もっと奥のあるものだ。感動をとおして心に迫る慰安は、立派な悲劇をよんだとき、一層惻々と私たちの精神をゆすってよろこびの感覚にまでたかめるではないか。いい芸術品のふくんでいるこの音楽のようなコンソレーション・人間苦と悲しみとの裡から猶響いて来るこの集注と発展の諧調はどこから生れるのだろう。(筋の上ではハピイ・エンドにすることがはやる今日の多くの小説について、或る人はそこに現代の文学の明るさを見るが果してそうだろうか。私には、そこに感覚として納得されないものを感じている。)
この間、アランの『文学語録』という本を頂いた。はじめの方に散文と詩とのことが語られているところがある。アランに云わせると、散文は自己自身と他からの働きかけとの間の調整を求めるのを法則としていて、従って外的ないろいろな力に追いまわされもするものであるが、歌・詩は、自己の均衡の上に築かれていて自身の諸部分のあいだに諧和を求めるもの、従って歌は人間の救われている状況の建築を表現し、強く直立している