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しゅじゅのことば

侏儒の言葉

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《侏儒の言葉(しゅじゅのことば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,003 字 · 73 頁

青空文庫

の中にこう言う言葉を挟んでいる。――「偉大なる画家は名前を入れる場所をちゃんと心得ているものである。又決して同じ所に二度と名前を入れぬものである。」

勿論「決して同じ所に二度と名前を入れぬこと」は如何なる画家にも不可能である。しかしこれは咎めずとも好い。わたしの意外に感じたのは「偉大なる画家は名前を入れる場所をちゃんと心得ている」と言う言葉である。東洋の画家には未だ甞て落款の場所を軽視したるものはない。落款の場所に注意せよなどと言うのは陳套語である。それを特筆するムアアを思うと、坐ろに東西の差を感ぜざるを得ない。

大作

大作を傑作と混同するものは確かに鑑賞上の物質主義である。大作は手間賃の問題にすぎない。わたしはミケル・アンジェロの「最後の審判」の壁画よりも遥かに六十何歳かのレムブラントの自画像を愛している。

わたしの愛する作品

わたしの愛する作品は、――文芸上の作品は畢竟作家の人間を感ずることの出来る作品である。人間を――頭脳と心臓と官能とを一人前に具えた人間を。しかし不幸にも大抵の作家はどれか一つを欠いた片輪である。(尤も時には偉大なる片輪に敬服することもない訣ではない。