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ぐうかんいちご
偶感一語
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《偶感一語(ぐうかんいちご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,683 字 · 10 頁
食事を仕ながら、自分は、種々に自分の心持を考えて見ました。
親類でもなく、師でも友でも無い、尊敬する一人の学者としてのみ間接に、間接に知っている人の死に対して、それ程直接に、純粋に、驚愕と混迷とを感じたのは何故だろう。
考えの中に浮び上ったのは、第一、その博士夫人に対する自分の感情的立場です。
文学的趣味を豊かに蔵され、時折作品なども発表される夫人は、全然未知の方ながら、自分の心持に於て同じ方向を感じずにはおられません。
お年も未だ若く御良人に対する深い敬慕や、生活に対しての意志が、とにかく、文字を透して知られているだけでも、或る親しみを感じるのは当然でありましょう。
その方が良人を失われた――而も御良人の年といえば、僅かに壮年の一歩を踏出された程の少壮である。――ここで夫人の受けられる悲歎、悲痛な恢復、新らしい生活への進展ということが、私にとって冷々淡々としておられる「ひとごと」ではなくなって来ます。
逝去の報知を手にした時、自分の心に衝上って来た、驚き竦え、考えに沈んだ心持は、恐らく、これ等の見えない原因を背後に持った私自身へのアラームであったのだと思われます。