輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちゅうとう
偸盗
線上閱讀芥川 竜之介《偸盗(ちゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,934 字 · 97 頁
の、赤い、醜い肉塊を見守った。赤ん坊は、しばらくも、じっとしていない。手を動かす。足を動かす。しまいには、頭を後ろへそらせて、ひとしきりまた、けたたましく泣き立てた。と、齒のない口の中が見える。
「やあ舌がある。」
前に鼻歌をうたった男が、頓狂な声で、こう言った。それにつれて、一同が、傷も忘れたように、どっと笑う。――その笑い声のあとを追いかけるように、この時、突然、猪熊の爺が、どこにそれだけの力が残っていたかと思うような声で、険しく一同の後ろから、声をかけた。
「その子を見せてくれ。よ。その子を。見せないか。やい、極道。」
平六は、足で彼の頭をこづいた。そうして、おどかすような調子で、こう言った。
「見たければ、見るさ。極道とは、おぬしの事じゃ。」
猪熊の爺は、濁った目を大きく見開いて、平六が身をかがめながら、無造作につきつけた赤ん坊を、食いつきそうな様子をして、じっと見た。見ているうちに、顔の色が、次第に蝋のごとく青ざめて、しわだらけの眦に、涙が玉になりながら、たまって来る。と思うと、ふるえるくちびるのほとりには、不思議な微笑の波が漂って、今までにない無邪気な表情が、いつか顔じゅうの筋肉を柔らげた。