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びぜんめいきゅうでん

備前名弓伝

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《備前名弓伝(びぜんめいきゅうでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,649 字 · 50 頁

青空文庫

と云い渡した。

検分の人々は北側へ並ぶ、二人は三十一歩の間隔で相対した。三之丞はおのれの位置につくと、おもむろに右肌を脱ぎ三ところ籐の弓をとって矢をつがえながら見やった。幸之進は大剣のさやを払って青眼、右足をすこし進めて構えている。呼吸五つあまり。

「いざ!」幸之進がさけんだ。三之丞は無言のまましばらく相手を見守っていたが、さっと弓をあげるや、きりきりと大きく引きしぼった。

とみる刹那、絃がなって、光のように飛ぶ矢。

「えいっ!」幸之進の口をほとばしる絶叫と共に、大剣がきらりと直線を描く、飛び来たった矢は、みごとに半ばから斬り折られて右へ落ちた。

「おみごと!」桜井と碇田の二人が同時に喚き、ばらばらと幸之進の側へ馳け寄っていく。

「滝川どの、勝!」山内権左衛門が扇子をあげて云った。三之丞はしずかに弓の絃を外し、検分の人々の方へ近寄ってきながら、

「未熟な技を御覧に入れてお恥ずかしゅうござる」と丁寧に会釈をした。そこへ幸之進もやってきた。

「青地氏、やはり狼と人間とは違うようだな」「まことに、滝川どの、御手練おみごとでござる。失礼仕った」「お分りあってなにより、これからは命矢の御用意をお忘れにならぬよう。